突然のゲリラ豪雨。傘持って行ってなかったら本当に困りますよね!今回は、ゲリラ豪雨について、その予想の仕方と、夕立との違いと絡めて発生する時期や時間帯についてまとめました。
1章 ゲリラ豪雨の前兆とは?予報が難しいのはなぜ?
ずばり、ゲリラ豪雨の前兆は「涼しくなること」。その理由はゲリラ豪雨の発生原理にあります。
そもそも「ゲリラ豪雨」と呼ばれる激しい豪雨は、積乱雲によってもたらされます。
積乱雲とは上昇気流によって作られますが、激しく上昇した空気が上空で冷やされ、水滴が成長した結果、下に落ち始め(これが雨)、下降気流になります。この下降気流が上空の冷たい空気を吹き下ろすので「涼しく」なるのです。
詳しく見ていきましょう。
積乱雲の仕組み
積乱雲の発生条件
・太陽によって地面が熱せられる(これがゲリラ豪雨の主要因)
・暖気と寒気がぶつかり合って前線が発生する
・台風
…などが考えられます。これらによって、激しい上昇気流が発生し、上昇した空気は上で冷やされ、その中で雨粒ができます。さらに上昇を続け、上空に持ち上げられた雨粒や氷の粒はどんどん成長し、やがて重くなり、上昇気流に逆らって落下するようになります。これらが、下降気流の元です。
積乱雲が成長している間は上昇気流の上昇力のほうが強いか釣り合っている程度なので、ちょっとくらい重たい水滴も持ち上げらていきますが、さらに成長してその均衡(上昇力≠水滴の重さ)落下し始めます。
そうすると、やがて下降気流のほうが強まり、強い雨とともに風が吹き下ろすようになります。その氷の粒が溶けきらずに地面に到達した場合、あられや雹になります。
このように、雨が降っているところでは、積乱雲から吹き下ろされた冷たい下降気流が吹き降りてくるるため、「すーっと」涼しくなってくるのです。ゲリラ豪雨ともなると、「ひんやり」と言ってもいいくらいになることもあります。
一方、通常の雨でも気温は下がりますが、上空の冷たい空気が一気に下降してくるわけではないので、積乱雲による雨(ゲリラ豪雨)ほどは涼しくはなりません。温暖前線に伴う雨の場合には、むわっと暖かくなる場合すらあります。
なので、薄暗くなってきて、「涼しくなってきたら」、それはゲリラ豪雨が近づいているサインかもしれません。
予測が難しいのは、積乱雲の成長には20分とかからないほど、急速に発達するためです。気象レーダーでも捉えられないことがあります。セミの鳴き声がやんだり、ラジオにノイズが入ると「くるかも?」と思いましょう。
ゲリラ豪雨予想などと言って、数時間前には予報可能ですが、前日予報などはまだ先のことになりそうです。
2章ゲリラ豪雨、集中豪雨、夕立の違いとは?
ゲリラ豪雨と集中豪雨、夕立、どれも同じような激しい雨ですが…違いはなんなのでしょうか?
ゲリラ豪雨
(株)ウェザーニューズが、『ゲリラ豪雨』で流行語大賞を受賞したのは2008年。
ゲリラ豪雨は、予測が困難で突発的、局地的な豪雨を指す俗語です。ゲリラ雨、ゲリラ雷雨などとも呼びます。使用されるのは日本国内のみで、国際的にはこれに相当する名称はありません。気象学的に明確な定義付けはなく、日本国の気象庁は予報用語として「ゲリラ豪雨」を用いていません。
集中豪雨
次に集中豪雨は、限られた地域に対して短時間に多量に雨が降ることを言います。気象学的には明確な定義はないが、目安として直径10kmから数十kmの範囲に時間雨量50ミリを超える場合です。
本来ならば積乱雲による激しい雨は30分~1時間もすればやむのですが、条件によっては、次から次へと狭い範囲に積乱雲がやってきて、長時間の激しい雨を降らせることが
あります。これを「集中豪雨」と言います。
夕立
夕立という現象は、気象学的には驟雨、にわか雨、雷雨、集中豪雨といった現象にあたり、「夕立」という独立した現象があるわけではありません
夕立は「気団性雷雨」といって積乱雲による驟雨(しゅうう)=短時間に降る激しい雨のことです。
集中豪雨の中でも、特に予測が困難な場合を「ゲリラ豪雨」というのが本来の使い方のようですね。しかし予測可能だったときにもゲリラ豪雨という方がインパクトがあるのでテレビは使いたがるようですね。
ちなみに、スコールも激しい雨のことを示すように思っていましたが、これは誤解です。
熱帯地方で日常的に見られる「スコール」という現象は、実は「風」のことを指します。短時間の急速な風速の高まりのことをスコールと言うそうなのです。その原因もやはり積乱雲であるため、短時間に激しい雨を伴い、こちら(豪雨)の方が目立ってしまうので、いつの間にか激しい雨のことをスコールと誤用するようになってしまいました。
3章 ゲリラ豪雨の多い時期と時間帯とは?
ゲリラ豪雨は、これまで書いたように、基本的には夏の夕立と同じようなシステムで、地表付近の温かく湿った空気と上空の乾いた冷たい空気が混ざることで大気が不安定になり、空気が激しく混ざり合い、積乱雲が発生して起きるのです。まず気温が上がる=ゲリラ豪雨が増える、から考えてもお分かりのように、ゲリラ豪雨が多いのは、気温の上がる7月下旬から8月末頃です。
ゲリラ豪雨は夕方に多い
そして、特に夕方に多く降ります。それは何故かというと、
通常乾燥した空気は、周囲より暖まって上昇したとしてもすぐに周囲より冷たくなりはるか上空まで上昇するということはできません。(乾燥していると平均より温度が下がりやすいため)それが日中、日光によって地面が暖められることにより、ほぼ温度が同じ空気で構成され、乾燥空気でも自由に対流できるようになる層(混合層と呼ばれる)が成長します。太陽が南中するのはお昼頃ですが、空気は暖まりにくいので、地上の気温がもっとも高くなるのは14時ごろ、混合層の上層部が最も高くなるのが15時~16時ごろになります。
混合層の上部が凝結する高度に達すると雲が発生します。 その上の成層状態が不安定だと、高いところまで勢い良く上昇し積乱雲が成長します。ですので、混合層の厚みが最も高くなる3時以降が積乱雲が発達しやすい時間帯ということになります。
先に書いたように、積乱雲が成長するには20分とかかりませんが、ある程度雨を降らせるほどの大きさになるには1~2時間前後かかるので、ゲリラ豪雨のピークは17時~18時になることが多いようです。
まとめ
ゲリラ豪雨についてまとめました。
ゲリラ豪雨は…
- 集中豪雨のうち、予測がつかないもののこと。
- 前兆は、「涼しくなること」
- 気温の上がる7月~8月の夕方17時~18時頃に多い
賢く予測して、ゲリラを回避してくださいね!